
Webマーケティングに携わるとGoogle アナリティクス(通称GA)についてよく耳にすると思います。アクセス解析ツールとしてはもはや定番となっているGoogle アナリティクスですが、ほとんどの人がなんだかんだ使いこなせていないのではないでしょうか?

以前、NERDのセミナーで実施したアンケートによると、Webデータ活用のセミナー参加者のうち、約60%の人が「Googleアナリティクスの使い方」に課題を感じていると回答していました。
Web分析に関するセミナーにくる方の約半分がそう回答するのであれば、おそらく世の中の人はもっとGoogle アナリティクスの使い方にお悩みだろうと思います。
そこで、この記事ではGoogle アナリティクスを使ったWebデータの活用方法の「基本と実践」について解説していきます。
目次
Google アナリティクスとは

Googleが提供する高機能のアクセス解析ツールです。そもそもアクセス解析とは、「Webサイトに訪問したユーザーの動向や属性を分析すること」であり、この分析をもとに事業において様々な施策を組み立て、Webマーケティングにおける費用対効果の最大化を図ることができます。
Googleアナリティクスは基本は無料で使用することができ、操作画面が初心者でも使いやすいことから多くの企業で利用されています。
株式会社DataSignが行った2017年8月の「Webサービス調査」によると、調査対象である国内上場企業3,558社のうち83.05%がアクセス解析などのWebサービスでGoogleアナリティクスを使用していました
参照:https://datasign.jp/blog/datasign-report-201708/
Google アナリティクスでできること
Googleアナリティクスを使ってできる事は本当にたくさんありますが、ここで主な使われ方をNERDが運営している「アニメミル」と言うサイトのGoogle アナリティクスの管理画面を参考にしながら、紹介していきます。
リアルタイム状況の把握
Google アナリティクスの「リアルタイムレポート」では、「リアルタイム」との文字通り、今現在、どれだけサイトが利用されているかを把握することができます。
ユーザーの基本属性の把握
「ユーザー」レポートでは、性別・年代・地域等の情報やサイトを見る上で使用した端末(PC、タブレット、スマートフォン)の情報を指し、Google アナリティクスではこれらの情報を把握することができます。
ユーザーがどこから来たかを把握
Google アナリティクスでは、ユーザーがどんな経路でWebサイトに流入しているか、把握することができます。「集客」レポートでは、検索エンジン、広告、SNS、メール等、サイトに訪れる前に利用していた経路を確認することができます。
サイト内でのユーザーの動きの把握
「行動」のレポートでは、サイトに訪れたユーザーが、どのページを閲覧・経由したか知ることができます。
Webサイトの成果の把握
「コンバージョン」のレポートでは、Webサイトで設定した目標(コンバージョン)に関するデータを見ることができます。
Google アナリティクスで使う機能は6つのみ
Google アナリティクスには実に94個(2020年5月時点)もの機能が搭載されていますが、ここでは基本として抑えておきたい6つの機能をご紹介します。

改善に活かせる6つのデータの観点
- チャネル(流入元)
ユーザーがWebサイトに来訪する際に直前に閲覧していたページのこと。つまり、自然検索や広告、SNSなどユーザーが「どこから来たのか」を確認する指標となります。 - ランディングページ
ユーザーがサイトに来訪した際に最初に見られるページであり、いわば「サイトの玄関」。ランディングページを見ただけでサイトから離れてしまうユーザーの割合率を「直帰率」と言い、この直帰率をいかに低くできるかが、コンバージョン数の改善に大きくつながります。 - すべてのページ
サイト内でユーザーに閲覧されているすべてのページのデータが、ページビュー数(PV数)の多い順に表示されます。よく閲覧されているページを把握する以外にも、ページごとの訪問数や滞在時間、直帰率、離脱率など知ることができ、ページごとの改善点を見出すことができます。 - 次のページ
特定のページの次に見られるページのことです。ユーザーが特定のページを見た後に、どこへ遷移したのかを知ることができます。Webサイト内でのユーザーの動きを知ることで、コンバージョンに至るまでの導線の改善などを考えることができます。 - デバイスカテゴリ
Webサイトを何を使用して閲覧したかを知ることができ、ここではDesktop(PC)、Mobile(スマホ)、Tablet(タブレット)の3つのカテゴリに分類されています。デバイスごとに画面のサイズが異なるため、それぞれのデバイスにあったサイトの見せ方、いわゆるユーザーインターフェース(UI)設計の改善を図ることもできます。 - コンバージョン(目標)
コンバージョンとはWebサイトにおける運営目標に到達することであり、Webサイトの運営目標を確認する指標となります。例えばお問い合わせ完了や商品購入完了ページなど、コンバージョンに至った数を知ることができるほか、新規や既存のユーザー層別のコンバージョン状況やコンバージョン経路を把握することができます。
Webデータ分析の下準備と3つのステップ
上記のような観点でデータが集計できたら、ようやくデータ分析が可能になります。ここではデータを分析するための3つのステップをご紹介します。
- 下準備: タグの埋め込みとコンバージョンの設定
- Step1: 大通りを見つける
大通りとは、「ユーザーの訪問数が多い領域」を指し、これを見つけることでWebサイト内の優先度を明確にします - Step2:改善箇所の特定
直帰率や離脱率などのデータをもとに、大通りの中でも特に改善すべきページを特定します - Step3: アクション後の効果検証
改善した結果、効果につながったかどうかを見極めることも重要な行程です
下準備: タグの埋め込みとコンバージョンの設定
ここからは上記の各Stepについてさらに詳しく解説をしていきたいと思いますが、その前に、Googleアナリティクスを使用する前提としてまずやるべきことについてご説明します。
1)計測タグの設置

計測タグは「トラッキングコード」と呼ばれるJavascriptのコードを指します。これをページに組み込むと、ユーザーがページを読み込むごとにコードが実行され、アクセス解析のための様々なデータを計測することを可能にします。トラッキングコードはGoogleアナリティクス内の「トラッキング設定」の画面で取得することができ、基本的には分析をする Webサイトの全てのページに設定するようにしてください。
2)コンバージョンの設置
Webマーケティングで達成したいコンバージョンの対象となるページ・サイト内のアクションを定め、Google アナリティクス内にコンバージョンとして、設置します。ここでは、「特定ページの閲覧」をコンバージョンとする方法を例に挙げます。「特定ページの閲覧」とは、ユーザーが特定のページに到達することです。例えば、商品の購入やイベントの申し込みが完了した際に表示される、いわゆる「購入完了ページ」通称「サンクスページ」を設定するとわかりやすいでしょう。アナリティクスで「特定ページの閲覧」をコンバージョン設定するには、ページのURLを入力する必要があります。以下が簡単な方法です。
【URLの目標設定】

手順①アナリティクスの目標設定で「カスタム」を選択

手順②特定ページの名前(購入完了画面など)を入力してタイプは「到達ページ」を選択

手順③目標詳細にページのURLを入力
Step1: 「大通りを見つける」方法
それでは、ここからは、分析するサイトのコンバージョンまでの大通り、つまり、「ユーザーの訪問数が多い領域」の見つけ方について説明します。

前述の通り、大通りを見つけるのは訪問数の多い領域を発見して、Webサイト内の優先度を明確にするためです。

大通りは、改善に活かせる6つのデータの観点の中でも、「チャネル(流入元)」、「ランディングページ」、「デバイスカテゴリ」の3つのデータを主に使います。

NERDのお客様の数値を例にさらに説明します。上記の図では、複数の流入経路で、しかもDesktop(PC)や mobile(スマホ)と、様々な端末でサイトにサイトに来訪してきていることがわかり、コンバージョンも様々なページで発生しています。
しかし、よくよくデータを見ると「Desktop(PC)で自然検索からトップや記事詳細ページに訪れているユーザー」がコンバージョンに至る数が多いため、ここが大通りということがわかります。
できるのであれば、上記のように、「チャネル(流入元)」、「ランディングページ」、「デバイスカテゴリ」の3つのカテゴリのデータを使う事をおすすめしていますが、難しいと感じる場合は、「チャネル(流入元)」と「デバイスカテゴリ」2つから分析してみるのも良いでしょう。
もう一つ例をご紹介します。

上記は一定期間のNERDのコーポレートサイトへの「チャネル(流入元)」と「デバイスカテゴリ」別の訪問数とコンバージョン数の数値となります。訪問数だけで見るとmobile(スマホ)のユーザーが多く、特に「バナー広告」が主な流入元になっていることがわかりますが、実際コンバージョンには寄与していません。
NERDの場合、コンバージョンに繋がる大通りは「desktop(PC)」ユーザーで、流入経路は「自然検索」や「直接流入」、「他サイトからの流入」の3パターンであることがわかります。
ちなみにNERDのコーポレートサイトのコンバージョンは「問合せの完了」です。
それでは、「大通りの見つける」ためのデータの取得方法をご紹介します。様々な方法がありますがここでは一つのやり方をご紹介します。

Googleアナリティクスのユーザー > モバイル > 概要を選択し、セカンダリディメンションにて集客 > デフォルトチャネルグループを選択すると関連のデータが閲覧できます。Google アナリティクス上で数値を確認しても良いですし、画面上部から、データをエクスポートしてExcelやSpread Sheetで自分の好みに編集するのも良いでしょう。
Step2: 「改善箇所の特定」方法
大通りを見つけることができたら、次は「改善箇所の特定」です。その方法について解説します。

「改善箇所の特定」には、まず大通りの中でも、よく見られている「すべてのページ」と「その次のページ」のデータを分析していきます。分析観点はパターンは以下の2つがあります。
改善箇所を特定する2つの分析パターン
- パターン1: 経由分析
経由分析とは、「そのページを経由するとCVR上がる(または下がる)」というページを見つけ、ページへの誘導を強める(または弱める)方法です。 - パターン2: フォーム誘導分析
ユーザーの訪問数が多いものの、コンバージョンに至るためのフォームの誘導率が低いページを見つけ、改善する方法です。
各パターンについて詳しく解説します。
パターン1: 経由分析

経由分析をするには、訪問数とページ毎のコンバージョン率(CVR)の数値を把握することが必要です。
NERDではよく上図のようなバブルマップを活用してます。上図は不動産サイトを例にしたバブルマップです。縦軸はCVRの値、横軸はページ訪問数を表しています。
図の左上にある赤枠ゾーンのページは、CVRは高いのに訪問数が少ないため、改善すべき課題は「訪問数を増やす」こと。反対に右下にある青枠ゾーンのページは、訪問数が高いのに実際にコンバージョンに至る確率が低く、「ページへの流入を緩める=導線設計を弱める」方が良いと考えられます。
このように改善箇所を特定したり、貢献度が高いページの閲覧数を増やしたり、CVR改善への貢献度が低いページを特定したりしていくことが重要です。
経由分析についてさらに理解を深めていただくため、NERDのコーポレートサイトのデータを例にさらに説明をしたいと思います。まず先ほどのStep1「大通りを見つける」で、「デスクトップからの流入」がコンバージョンの大通りとなっていることがわかりましたので、ここでもデスクトップのデータを元に分析します。

上記の図を見ると、トップページや会社概要を閲覧してユーザーがコンバージョンに至っている事がわかります。一方で、Web制作事業について説明しているページや実績ページはCVRが低く、CVへの貢献が低い事がバブルチャートから読み取れます。
ここから様々な考察や施策を考えることはできますが、現時点では、トップページ閲覧社がコンバージョンに至るのが明らかなので、最新の実績やニュースは必ずトップに反映されるようする、またトップページだけでNERDの魅力が伝わるようなコンテンツにする事が施策として考える事ができます。
経由分析をまとめると結局のところ、下記の図のように訪問数が多くコンバージョン率も高い赤色のゾーンのページを増やすために青色の訪問数を増やし、黄色のゾーンの導線を緩める考えになります。

パターン2: フォーム誘導分析

次に、改善箇所を特定する分析パターンとして「フォーム誘導分析のフォーム」について説明します。
フォーム誘導分析のフォームとは、例えば「資料請求フォーム」や「申し込みフォーム」、「問い合わせフォーム」など、コンバージョンに至るためにユーザーが最終的に入力する画面を指します。「フォーム誘導分析」とは、訪問数が多いもののフォーム誘導率が低くフォーム通過率が高いページを発見することを目的とする方法です。このようなページではすでに訪問数が多いので、フォーム誘導率を改善するだけでコンバージョン数の増加が期待できます。
上記は、「フォーム誘導分析」を通じて、資料請求を目的としているお客様で、主要な導線を整理した結果コンバージョン率が約2倍になった事例です。
元々のサイトでは主要導線が目立っていなかったので、主要導線を目立たせるようにボタンのデザインを変更しました。
また、あまり使われていなくてサイト的にもそこまで重要ではない「お気に入りへの追加」を、ボタンからテキストリンクへ変更したこともコンバージョン率の改善に貢献した要素の一つとなりました。
Step3: 「アクション後の効果検証」の方法
Step2にて発見した改善点に対して施策を試みた結果、どのような効果が出たかを把握するための効果検証方法ついて解説します。

効果検証方法は「ABテスト」と「前後比較」が有名ですが、NERDでは、基本的には「前後比較」を推奨しています。

「ABテスト」によるに効果検証は理想的ではあるのですが、実際は大規模な流入(月100万件以上訪問者数)がないとあまり明確に差が出てきません。なので、大半のサイトでは前後比較をおすすめしています。
また、前後比較の方が実施が簡単なので、すぐに施策の結果の良し悪しがわかりスピード感があるのもおすすめしている理由のひとつです。

「前後比較」の場合でも、前提条件を揃えることで正しい判断をすることが可能になります。例えばセグメント別に見ることで特定の要因による異常値を除外できたり、時系列で見ることで特定の期間に発生した異常値を除外できるようになります。
まとめ
この記事ではGoogle Analyticsを活用したWebデータ活用手法の「基本」と事例も踏まえた「実践」について紹介させていただきました。
今回の記事を読み、さらに詳しい話を聞きたい、相談したいことがあるという方は、まとまっていなくても大丈夫ですので、お気軽にNERDまでご連絡ください!
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